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「暗暗裏」の感想

TikTokにて発表された嶺亜くんの作品について、あーだこーだ個人的な感想をまとめようと思います。

 

私のスタンスとしては、芸術鑑賞において大事なのは自分(受け手側)の感性による直感的な感想、そして作者について考えることも大事な要素だと思うので、そのような話が少し出てきます。

 

まずはTikTokに発表された作品を見てみましょう

 

https://vt.tiktok.com/ZSN4nFFh2/

 

 

タイトルは「暗暗裏」となっています。「暗々裏」は「人の知らないうちに」という意味ですね。

来週細かいこだわり等についての話がブログで上がる様なので、私の感想と大きくズレる可能性はありますが、あえて追加で作品解説が来る前に私が感じたまっさらな状態の感想を書き留めておこうと思いますが(追記くらいはするかも)、とりあえず現時点で分かっているのは「好きに描きたいもん描こう!」と思って描いた絵であるということ、嶺亜くんが好きな和×サイバーパンクの世界観を表現したかった、ということです。

 

ブログで原画を見る前、最初に作品をじっくり見た時に1番思ったのは、左右で対比的になっているなということでした。

 

横兵庫と呼ばれる蝶のように広がる髪型は花魁の髪型の中でも特にポピュラーな髪型で、当然連想されるのは女性。

でも向かって右側の横髪は無くすっきりとしていて、ここだけ見たら男性的に見えます。

向かって左側(女性側)の目はゴーグルで隠されており見えませんが、右側(男性側)は目が出ていて、紅隈が施されているように見えます。紅隈といえば歌舞伎、歌舞伎と言ったら男性が演じるものですし、中でも紅隈は正義のヒーロー的役割を表すものなので、やはり男性的。

 

髪型と顔だけ見るに、どうやら向かって左側は女性的で、右側が男性的に見えます。

 

続いて背景を見てみます。

背景で最も相対的な象徴として描かれているのは龍と虎かなと思います。

竜虎相搏」という言葉があるように、龍と虎は一対で実力伯仲の象徴です。

 

向かって左側には、欲を感じます。

食欲・性欲・睡眠欲が人間の3大欲求とされていますが、たまご・餃子・らぁめん・酒・ホルモン(らしき)看板など、飲食に関する看板は左にまとまっています。(右側の寿が寿司の可能性はありますが……)

勝山髷(かな?)の女性の看板は今でいう芸能人的な存在の女性の看板でしょうか。お色気うっふんお姉さんのネオンはもろ性欲を示してるだろうし、うっふんお姉さんの上にある「ゆ」の文字は湯屋(銭湯)だと思われますが、江戸時代、湯屋は売春が行われる場所でもあったので、性的なものの表現かなと思います。

狐面の看板もあります。狐といったら人間を化かす(騙す)というイメージですが、左側のマントに書かれている「笑面夜叉」(=顔は笑っていても、心の奥底では悪いことを考えているという意味)と通ずるところがあるかなと思います。

他にはカラオケらしき看板、極楽浄土らしき看板が見えます。

 

次にマントを見てみます。

笑面夜叉、混沌、PREDATOR(捕食者もしくは他人を利用する人の意)、DOPE(のように私には見える)、篆書という種類の字体の暗という字が描かれています。

陸々々というのは666のことかな。悪魔の数字とされる数字ですね。

ポケット部分に書かれているカタカナの「サイジメク テンカ」というのは意味が分からず……テンカは天下かな。

向かって左の人間の足の靴のタンの部分の文字(上に人、下に言火火と書かれている文字)も意味が分からず気になります。字から受けるイメージとしては、口は災いの元というか、SNS等で発言が炎上してるようなイメージが思い浮かびました。

 

私の知識と感性では不明な部分も多々ありますが、これらが左に描かれています。

私の仮説通り、もしも左が女性性を表しているとするなら、欲深く(もしくは欲の対象)、人を騙し、心の底で何を考えているかわからず、混沌としていて、人を利用し、中毒性があり、暗い(後ろ暗い)。

でも、極楽浄土でもあるし、男性と対になるもの(龍の傍には太極図も描かれている)で、心の目が見えている(=目はゴーグルで見えないけれど、かんざしに目のマークの飾りがある。要は第六感が働く、勘が鋭い的な意味?)というのが女性性として表現されているのかと思いました。

 

右側もざっくり見ると、手裏剣・くない・ダイナマイトという物理攻撃をする武器を備えていて、脚はメカニック(強化?効率化?)、手はポケットから出して印を結んでいて、右側の看板には天下(天下統一?)の字が見えて、戦う・戦闘のようなイメージが湧きます。

24時間(営業)というのは誰かが絶えず働いているということですし、「不眠不休」のようなイメージもあります。常に稼働しているというのは、3大欲求の睡眠欲とは真逆にあるもののような気がします。

押はなんでしょうかねぇ、押忍!的なこと?笑

右側には左側には無い天守閣があり、一国一城の主的なイメージも湧きます。

男性性としては、常に戦い続けるというようなイメージを受けます。

 

逆に左右対称なのが刀を掴むメカハンド。

刀は手裏剣なんかと比べたら主要武器のような気がします。

本人がそのように意図したかは別にして、私は何故刀だけが左右対称なんだろう?と考えた時に、主要武器は左右(男女)共に同じように使う(同じ人間である)けれど、その他の装飾や環境が違うというのが男性性と女性性ってことなのかな~と思ったりしました。

(だから男性性の強い女性も、女性性の強い男性ももちろんいるよね、ということにもなる)

(女性性の表現が私の言葉だと結構ボロくそ言ってるように見えるかもしれませんが笑、別にそこに女性を見下すようなイメージは私は感じませんでした。男性性と対になるもの、ただ単に違いがあるという種類の表現というか、どちらが良いとか優れているみたいな話はしていないだろうな、と)

 

でも、これだけネオンギラギラなのに、左右共にシャッターが閉まってるんですね。街は本当はもう眠っているのかもかもしれません。それでも真・江戸はネオンがギラギラに輝いている。

 

制作過程を見てみると、たまごの看板は最初右にありました。

右には最終的に生き残ったサウナ(どちらかというと男性の間でブームになっているイメージ)、そして当初は亜細亜の文字の看板があり、海外を視野にいれている野心的なイメージで、やはり男性的かなと思います。

たまごは明らかにたばこの看板を模しているので、最初はたばこのイメージ(喫煙率は女性より男性の方が高い)としての配置だったのかもしれませんが、文字通りたまごならイメージ的には左側、となったのかとしれません。

 

 

ここでやっと原画を見てみると、男性性・女性性の対比の原案のようなものはほとんど見受けられません。

髪の毛は横兵庫が完成しているし、両目はきちん見えていて同じように閉じているし、両手はしまっているし、足も両方人間の足。背景も左右差はそこまでありません。

 

ここで私は混乱する訳です。

 

普通、作品をつくろうとなったらテーマを決めて、そのテーマを表現する作品をつくるじゃないですか。

この作品のテーマは、雌雄同体的なことなのかなと思ったんです。男性性と女性性を併せ持つということ。もっと言えば、嶺亜くんの好きな江戸×サイバーパンクの世界観だって、過去と未来のかっこ良さを併せ持っている。

襟元の文字は、「斬」「葬」。斬る、そして葬るを1人で完結しているということから見ても、誰にも知られず、それこそ暗々裏に物事を1人で完結させる(ことができる)というテーマなのかなと。厨二病的に言えば、究極体みたいな。

でも、原画からはそのようなテーマを見出すことが全く出来ず「好きな世界観を表現した」という嶺亜くんにとって、私が感じたようなことは味付け程度に過ぎないのか???と思ったりもしました。

 

そして中村嶺亜という人のことを考える訳です。

アイドル中村嶺亜のことはたくさん見てきて、ファンを大切にして、感謝を伝え、努力を重ねて着実に実力を付けて進み続ける素晴らしいアイドルだな、と思う。

でも、嶺亜くんそのものの人間性ってあまりよく分からない。

嶺亜くんってどういう人なんだろう。

 

そもそも、暗々裏というタイトルや笑面夜叉が出てくる語彙力に驚く。

髪型を始め、江戸文化にも造詣が深いんだろうと思う。篆書も知っている。

私の知ってる嶺亜くんは、ことわざと四字熟語の違いも分からない人なのですが……

 

自らを厨二病だと言うし、なんとなくかっこいいなと思ったものを検索しただけと言われればそうなのかもしれない。興味のあることに詳しいのは別におかしなことではないし。

 

制作過程を見ていても、制作に関するブログを見ていても、嶺亜くんの中の色合いだとか良いと思うものの感覚は水物で、制作途中でもどんどん変化していくものらしい。

これを描こうと決めて取り掛かったのは原案部分だけなのだとしたら、あまり絵に強いメッセージ性を含ませようという意図はなく、私が深読みしすぎているの可能性ももちろんある。

 

でも、私はこの「暗々裏」を見た時に、今まで感じたことの無い種類の良さを感じたんですよねぇ。

 

今まで嶺亜くんが描いた絵って、何かしらのテーマを与えられて描くわけじゃないですか。

例えば東京をテーマにした絵を描いてください、とか。

そのテーマに沿って、そこに嶺亜くんのエッセンスや発想を入れて描いたものが多かったと思う。そこで表現されるのはテーマで、本人の思想の表現みたいなのはあまり感じたことが無かった。

 

私が知る範囲で過去作の中で1番メッセージ性が強そうな絵って、よくテレビで紹介されるあの油絵かなと思うんですよね。女性と悪魔が半分のやつ。

あれがどういう経緯で描かれたものなのか私は知らないんですが、あれも何かしらのテーマが決められてたんですかね?

もしかして授業の課題で今回と同じく「絵を描くこと」だけ、あるいは「自己表現」のようにかなりざっくりとしたテーマだけが決まっていて制作されたのでは?と思うと、あの絵には嶺亜くんの内側にあるものが表現されたものの可能性は高いし、あれももろに「笑面夜叉」な絵だなぁと思ったら、今回の絵から感じたものもあながち間違いではないのかもしれない、と思ったりしました。

 

 

絵そのものに関しては、私は本当に絵が苦手なので落書きレベルでも絵を描かないし、技法みたいなものは一切分からないんですが、マットな質感なのにのっぺりとした平面な感じがしなくてすごいなと思いました(急にアホみたいな感想になってしまった笑)

色合いもとても派手なのに嫌なチカチカするような派手さではなく、細部まで色々細かく描かれているのにガチャガチャしてなくて、この全体の統一感?一体感?みたいなものもすごいなと思いました(すごいなと思ってばかりいる)

人物の明暗と、色の使い方なのかな?よく分からないけど、多分狙いすましてやっていてすごいです、センスやばい(アホの感想再び)

 

嶺亜くんの過去作は色々ありますが、私はこの「暗々裏」が特に好きです。とても好きです。素敵だなと思います。

次回のブログではこだわりポイントを発表してくれるそうなので、楽しみです。

 

個展を開くのが夢ですと嶺亜くんはこれまで何度も発言していますが、もし個展が実現したら、私はこの暗々裏の前でたくさんの時間を過ごすだろうなと思います。

その日が早く来ることを願っています。

 

最後に。

TikTokという媒体の力で嶺亜くんの絵の実力が広く知られて、アーティストとしての中村嶺亜が評価されたらそれは凄いことだなと思いますが、あの動画はアーティストでありクリエイターであり、でも何よりアイドル中村嶺亜のPR動画だったような気がして、やっぱりアイドル中村嶺亜は最高だなと思いました。