この映画は公開されたら見に行こうと思っていました。
YouTubeか何かで広告として出てきた2分半くらいの予告を飛ばさず最後まで見て、面白そうだなぁと思ったので。原作綿矢りささんだし。
その予告見ただけで、たとえ役の俳優さんすごく雰囲気のある人でいいなと思ったのね。
私は当時まだJr.に詳しくなくて、まさか作間くんがジャニーズだとは知らなかったんだけど。
実際作間龍斗の雰囲気勝ちみたいなところ、かなりある。
作間くんって、姿勢がいいんだか悪いんだかよく分からない独特の立ち姿をしてる気がしてるんだけど、その立ち姿にさえすごく説得力があったな。
作間くんが何かですごく悩んで演じたし、今も悩んでるみたいなコメントを出してるのをどっかでチラッと見かけたけど、その様すら役柄にぴったりな気がする。
明るいタイプではないし、クラスでは目立つ方ではない、黙々と勉強を頑張る寡黙な男の子に、明るくてしっかり者で目立つタイプの女の子が恋をした。
でも実は彼には秘密の恋人がいることを知ってしまうところから、話がどんどん展開する。
高校生くらいの年代の、命知らずで力いっぱいな、独特の気持ちのゆらぎがすごく丁寧に描かれていた。
いったんつまずいてしまうと、坂道をゴロゴロと転がり落ちるように突き進み、加速し、自分でコントロールできなくなる。やがて人にぶつかり、やっと止まる。
止まった頃には、坂道の上にいた頃の自分とはもう違う自分になっている。
そんな感じの話でした。
私の好きな映画ランキング上位に入ってくるなぁ、この映画は。
すごく良かった。原作も読んでみようかな。
!!!以下ネタバレあり!!!
作間くんの殺傷能力がえげつない。
あまりに作品としての力が強いので、作間くんかっこいい♡とか言ってられる次元にいない感じがするんだけど、たとえくんがあんなに魅力的でないと間違いなく成立しない映画。
口数の多い役ではない上に、この映画は全体的にペラペラ説明っぽく喋ったりしないので、たとえくんのセリフひとつひとつがすごい。
全部斜め上を突いてくる感じ。いやぁ、すごい。たとえくんの話す言葉は全部すごい。
たとえくんと愛ちゃんのシーン、どのシーンも衝撃だった。
美雪ちゃんは本当に心の綺麗な子で、愛情深い子。
美雪ちゃんは愛ちゃんを「神様みたいに可愛い」と言うけれど、愛ちゃんにとって、紛れもなく美雪ちゃんは神様だった。
原作がどういう結末なのか未読なので知らないけど、監督はあえてどうにでも受け取れるように終わらせたんだと思うから私個人の見解はいったん置いといて、鶴が「ひらいた」を象徴するのなら、「1番折ってたのは木村さんじゃん」っていう何気ないたとえくんのセリフが…物凄い意味を持ってくるよね………
たとえくんと美雪ちゃんは狭い世界で生きているといい、たとえくんは人が嫌いだよねと罵った愛ちゃん。
愛ちゃんに、君みたいな人は嫌いだとはっきり言ったたとえくん。
火の玉みたいに、エネルギーの塊で勢いがあって、自分も、自分の周りも燃やしてしまうような愛ちゃんは我慢を知らなくて、先生にも友達にも心配される。
でも、愛ちゃんが「1番たくさん折ってた」のをたとえくんは見てた。気づいてくれてた。
それだけで愛ちゃんは救われたなって。
ちょうど美雪ちゃんがお風呂場のガラスを割った日のように、こうやって理解してくれる人の存在を知り、傷付ようとして傷付けた相手(=美雪ちゃん)に愛情で包み込まれた時、愛ちゃんは「人のために生きること」を知っていくんだなぁ。
たとえくんは親との関係を変えられない子どものままで、だから人を大切にはできるし理解を示そうとはするけど、まだ本当の意味で愛せない。同じ荷物を背負えない。
俺多分受かる、東京についてきて欲しいと口にしていたのは、親との決別によって美雪ちゃんを本当の意味で愛せる、愛したいと思った気持ちの表れだったはず。(決別への第1歩を無遠慮に踏み込んだのは、他ならぬ愛ちゃん)
たとえくんと東京へ行って、できる仕事を探す。たとえくんに他に好きな人ができたらそれでいい、と言える美雪ちゃん。
たとえくんがもうどうしようもなく好きでたまらないのに、嘘をはらんでしまい、それを2人ともに呆気なく見破られてしまう愛ちゃん。
この3人は形は違うけど、3人が3人とも、きちんとそれぞれが愛情で結ばれたラストだったんじゃないかなと私は思いました。
とーーーーってもいい映画でしたね。
この役を演じた作間くん、もちろんご本人のとんでもない努力があってこその素晴らしい役、素晴らしい演技だったとは思うけど、本当に幸運だと思うな。
当て書きしたんか!?ってくらいこんなにも作間くんにぴったりで、作間くん以外にやれそうもない役と若いうちにめぐり会えるのすごいことだと思う。こりゃあとんでもないことだよ。すごい。(失われる語彙力)
監督の深い深い思い入れをバッシバシに感じる素晴らしい作品でした。
まだ見てない方には全力でお勧めします。
誰担とか関係なく、作品として本当に素晴らしいのでお勧めします。